地域でがんばっている環境分野などの
NPOの仲間のあいだで2、3年前から「
2007年問題」が話題に上るようになってきました。
2007年――
団塊の世代が
大量に
定年退職を迎え、
地域へ戻りはじめる時期です。まだまだ、体も元気で、やる気もエネルギーもあり「これまでの経験や知識を社会のために役立てたい!」という
団塊の世代が
地域へ戻ってくる――。これはもちろん望ましいことであり、うれしいことです。でも、それを「
2007年問題」と呼び、恐れている人もいるのは、なぜなのでしょうか?
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退職後に会社の価値観を押し付ける人たち
「
NPOの2007年問題」を恐れる人がいるのは、
定年退職し、
地域に戻ってくる
団塊の世代のなかには、これまでの会社での自分の肩書きや地位、これまでの自分のやり方をそのまま押しつけてくる人々もいることが想定されるからです。
自分の経験や知識を
地域の
NPOで活かして、“ともに”
地域づくりを進めていくのであればよいのですが、「これはこうするものだ」「あれはああするものだ」「自分の言うとおりにせよ」などと、頭ごなしの指図のスタンスを持って入ってこられては、これまで小さいながらも価値観を共有し、いろいろな人々との話し合いのなかでやり方をつくり上げてきている
NPOにとっては、たまったものではありません。企業や行政など大きな組織での経験を積んだ人材は本来
NPOにとって得がたい貴重な戦力となるはずなのですが――。
往々にして、
地域でがんばっている小さな
NPOは、若い人々や女性が中心に回していることが多いのです。そういったところに、あたかも自分が社長か部長であるかのように、押しつけがましく指図したり仕切ったりしようとする
年配者が入ってきては、会の運営自体が難しくなっていくのではないか。そういう事態に直面しているという実例を聞くにつけ、戦々恐々としている
NPO関係者もいたのでした。
実際に
2007年を迎え、幸い、「各地で小さな
NPOがつぶれ始めている」という話も聞こえてきませんので、おそらくあちこちで上手に対処しつつあるではないかとほっとしています(が、そういう事態が皆無かどうかはわかりません)。
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NPOに受け入れられる3つのコツ
定年退職後に、これまでの長年の社会に対する貢献や、会社での経験を十分に活かして、本当の意味で
地域の幸せ(それは、幸せづくりを行っている組織の人々の幸せも含みます)に資するために活動でき、その組織にも
地域にも愛されている人々もたくさんいます。
そうかと思うと、あくまで自分の価値観ややり方を押しつける結果、疎まれ、遠ざけられ、仲間に入れてもらえず、自分も相手も幸せではなくなってしまうタイプの人々もいるといいます。何が違うのでしょうか?
私も
NPOを運営しているのですが、私たちの
NPOには、
定年退職を迎えたあと、自由になった時間を惜しみなく注ぎ、本当に素晴らしい活動で、私たちの若い
NPOをしっかりとサポートし、あたたかく見守ってくれている
ボランティアの方々がいます。そういった方々の活動や組織に対するスタンスを見ていて思う「
地域に戻って
成功する3つのコツ」をお伝えしましょう。
まず、これまでの自分の肩書ややり方への執着や、「こうあるべき」という
固定観念を手放すこと。手放すことが難しければ、いったん“脇に置いておく”だけでもよいです。
次に、たとえ相手がまだ頼りなさそうに見える、小さな若い
NPOであったとしても、その存在の目的や、運営方針、大事にしている価値観を尊重する姿勢を持つこと。その組織は、あなたが入るまえから存在し、役割を果たしてきているのです。組織の改善やお互いの向上のための議論は好ましいですが、「
決めつけ」「
押しつけ」は×です。
どんな
NPOも
地域のグループも、ある目的や目標を達成したいと活動しています。もし、自分の「こうあるべき」という目的や目標を達成する手段として、その
NPOを考えてしまうとうまくいかなくなります。
私も実際に、自分の組織の代表として、「私たちの
NPOは、このような目的と価値観でやっています。もしあなたの目的と価値観がそれとは違うなら、どうぞほかであなたと同じ目的や価値観の組織を探して下さい。もしくはご自分で活動を立ち上げてやられてはいかがでしょうか」とお話しせざるを得なかったこともあります。
そして、3つめは、自分にとっての新しい組織や活動から学ぶこと。そして、
学んでいる自分を楽しむこと。
いくつになっても、これまでのやり方にこだわらず、新しいあり方ややり方を学ぶことができますし、いくつになっても、学ぶことは楽しいことです。そういうスタンスで、
地域での
活動に参加すれば、
定年退職後の
人生が、それまでの(だんだん小さくなりゆく)延長線上にあるのではなく、これからもどんどんと広がり深まっていく、わくわくする旅になっていくことでしょう。
枝廣淳子(えだひろ・じゅんこ)
環境ジャーナリスト・翻訳家。東大大学院教育心理学専攻。通訳者を経て講演、執筆、環境NGO「JFS」設立など精力的に活動。主著に『地球のなおし方』『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?』など。訳書に『不都合な真実』など多数。
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